2017年 08月 02日
通じるもの
20代を、美術館で勤めて過ごした私。ミュージアムエデュケーションというものに携わりながら、美術とは何かを考え、人の心の動きに寄り添いながら、その理解や個々人の表現の手助けをしてきました。
あれから7年、美術の専門書はもう読む事はないだろうと大量に処分してきた書物の中で、やはり捨てられないものもあります。今朝ふいに手に取ったのは1冊の薄い本。2008年に宮城県美術館から発行された「美術館探検 宮城県美術館を使って、子供たちの世界観を拡大させる試み」です。
ワークショップ活動の記録集で、整理された理論と子供のたちへの温かな眼差し。何より同じ平地に立って美術館探検を面白がる斎さんの姿勢が感じられる1冊です。
斎さんというのは美術館教育の黎明期を切り開いてきた方。全国の美術館教育に携わる人々にも多く影響を与え、私も感銘を受けた1人です。
以前読んだ時にはまだ結婚すらしていなかったけれど、今、子供を育て、共に暮らしていると、改めて斎さんの凄さ感じます。
美術とは何なのか。何故必要なのか。これを読んでいると自分に問い続けられるし、美術の見方を思い出すだけで気持ちが軽くなれるような気がしています。
日々の中で、美術から随分と遠ざかっていたような気がしていたけれど、美術的なものの見方は常に自分と共にあって根付いている。それを子育てに応用すればいいだけのこと、とこの本を読んでいて少し勇気づけられました。
やっぱり全ては通じている。
by娘
by neri-iro
| 2017-08-02 11:20
| 暮らし